花子さん、おばあさんになる

人間年齢100歳の老いねこ日記

魔法のくすり

 

          

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 「霜田さん、読んだよ。大変だね〜。どうしたらいいんだろう??」そう言ってくれるのはネコを飼っている人たちだ。もし我が家のネコが…と置き換えて心配してくれるのだろう。「この夜鳴き、ホントにどうしたらいいのだろう」と、寝不足のあたまで考えても、いい答えはでなかった。代わりに一週間の不在から戻ってきた母が、どうぶつ病院へ相談へ行ってくれた。そして、抗てんかん薬ゾニサミドを処方され帰ってくる。しかし、注意書きには<高齢などのため全身状態が悪いときには、薬が効きすぎてしまう場合があります(最悪の場合には致死的になる場合もあります)>と書いてあるではないか。

「どうする?花子にもしものことがあったら」と心配そうに母に聞かれて、「そのときは寿命だよ」と答えるわたし。花子が聞いたら、絶叫してますます怒りそう。この抗てんかんの薬は、以前飲んだ精神安定剤とは違い、ラリってふらつくことはないらしい。夜中に絶叫して徘徊しませんように…と願いながら、花子の口をむりやり開けて投入した。

 翌日、ラリることなく、絶叫することなく、天国へ行くこともなく、花子は大人しかった。けれど、大人しすぎた。食欲がなくなったらしい。そして、少しふらついて歩く姿は、一気におばあさん度があがっていた。老ねこが食欲をなくすのは気の毒だ。命取りになってはまずい。てんかんの薬は様子見となる。なかなかよい解決策は見つからないものだ。

  

 ふと、母が「そういえば…」と1本のスプレーをゴソゴソ探しだしてきた。「ずいぶん前にどうぶつ病院で買わされたんだけど、怒って興奮するネコをキャリーバックに入れるときに使うスプレー、これどうだろう?」タオルハンカチに何度かスプレーしてネコハウスの前にぶら下げてみた。匂いをかいだ花子が目をこする。そして、静かに目を閉じた。朝起きてみれば、あの悩ましい絶叫は…なかった。徘徊しても、かわいらしい声で鳴いていた。ごはんも食べる。昼間、妙な声で遠吠えするときがあるのだけど、そのときも、このタオルハンカチの匂いをかぐと、おもしろいように大人しくなる。奇跡だ。花子の奇声が聞こえると、母は素早くボクシングのセコンドのようにタオルハンカチを投げている。

 

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 さて、花子さんのような困ったネコとお暮らしの皆さんに、この魔法のスプレーをご紹介しましょう。名前は「フェリウェイ」。なんでも<猫の頬から分泌されるフェイシャルフェロモンF3に注目して開発された、フェロモン製剤です。問題行動をおこす猫に対して安全に使用できる商品です>とのこと。なんと、フェロモン!媚薬!どうりで、とろんとした顔つきになったわけだ。花子も気分がよいとは、なんてすてきな魔法のくすりなんだ。あ〜よかったよかった。しかし、これって薬中毒みたいものなのかな。効果がうすれていきそうな気配もあるなあ。でも、今のところいちばん良い結果が出ている。スプレーの箱を見ると、消費期限は3月末。むむむ。ま、ちょっとくらい期限を過ぎたって大丈夫だろう。スプレータイプの他に、コンセントに差し込んで部屋中に拡散させるものもあるらしい。スプレーがなくなったら、これを買ってみようか。只今、生体実験3日目。どうなるかな。また報告します。

 

 

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