花子さん、おばあさんになる

人間年齢100歳の老いねこ日記

老人と老猫との生活

 

                             

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 この一週間、老人(75歳男)と老猫(推定84歳雌)と暮らしていた。どちらも早起きで、どちらも大食いで、わたしの普段のペースとはまったく合わない。けれど、そんなこと言ってても生活が回らないので5時半に目覚まし時計を合わせる。睡眠確保のため就寝は23時半までにしたい。23時頃から布団に入って俳句の本なんか広げて、眠気を誘いながらうつらうつらしていると、花子の鳴き声がどんどん大きくなるのが聞こえる。そして、父がドアを叩く。「花子がさ〜ウンチしたよ」。ムクッと起き上がり、「してたら取ってトイレに流す!」と、ウンチをすくって流すところを見せる。学習してちょうだい。布団にもどって寝る。そして午前4時頃、また鳴き叫ぶ花子の声。ダメだ。まだ5時半じゃない。今起きて行ったら、明日からずっとそうなる。布団をかぶる。5時すぎ、父が起きてどすどす歩く音がする。「花子、どうしたの」なんて声がする。玄関で朝刊を取る音がする。んも〜、寝てられない。絶叫する花子にエサをやる。『まぐろスープ、かにかま、小海老入り(少しだけ、だから贅沢)』と書かれたパックからスープが垂れる。ぬぐってなめそうになる。どんな味がするのだろう。

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 わたしは低血圧で、朝につよくない。本当なら顔など洗って徐々に動き出したいが、7時に仕事へ出かける父の朝ごはんの支度をせねばならない。父が謎の早朝体操をしているあいだに、前夜用意したりんごにバナナを添えて、茹でたブロッコリーにゆで卵、ハムを盛りつけ、食パンを半分に切り焼く。片方にチーズとしらす、もう片方にブルーベリージャム、ヨーグルトには蜂蜜をたらす。我が家の朝ごはんは洋食なのだ。朝刊を広げてのんびり食べてる父のそばで、ひとまず果物だけ食べて、花子のトイレ掃除をする。洗濯機がぴーぴー鳴って、洗濯完了を知らせる。ゴミをまとめて収集カゴに入れにマンションの一階まで降りる。戻ると、また花子が絶叫してごはんを催促する。

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 やれやれ、やっと顔を洗う。洗濯物を干す。風呂を洗う。体操をする。8時を過ぎた頃やっと朝ごはんを食べる。花子が鳴いている。朝ドラを見る。(我慢して見ている理由は、北大路公子さんのツイッターでの的を射た感想に笑うため)花子がまた絶叫している。ほっといたら常に用意してあるカリカリを食べていた。掃除機をかける。スーパーへ買いものへ行く。帰ってきて、冷蔵庫にしまっていると寝ぼけた花子がまたエサをねだる。

 

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 なんやかんやしているうちに、日が陰ってきたので、洗濯ものをとりこむ。花子がベランダに出てきて、ムシャムシャねこ草を喰んでいる。玄関で夕刊が届く音がする。テレビをつけて、大相撲を見ながら晩ごはんの支度や明日の朝ごはんの下準備などする。今場所は贔屓の高安関が連勝で気分が上がるなあ。そこへ花子がまた「メシをくれ〜」と激しく鳴く。「1日に何度あんたにごはんをやればいいのだ?」とエサをやる。父が帰ってくる。棒立ちになって、横綱たちの取り組みを見ている。

 

 

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 父が謎の夕方体操をしているあいだに、晩ごはんを並べる。花子も「メシじゃ」と横に座るので、スプーンひとさじエサをやる。18時半、父と一緒に夕食。わたしのいつもの夕食時間より2時間半も早い。お腹もあまり空いてないが仕方ない。リモコンでザッピングされまくりで、何を見ているのかわからないままのテレビを見つめながら食べ終わる。作りすぎたぶんを、自分の責任で食べてお腹がいっぱいだ。洗いものが終わるとまた花子が「腹減った」と鳴く。こんなことになるだろうと、残しておいたエサをやる。皿をなめて完食。父も晩ごはんのあとのおやつだと言って、菓子パンをひとつ完食。「あんたら、どんだけ食べるんじゃ〜」。胃薬をのむわたし。

 

                                 

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 お風呂に入っていると、花子がまた絶叫しているのが聞こえる。エサをやるかと出てくると、おとなしく毛づくろいをしているではないか。どうやら父にまたエサをもらったようだ。「吐くからそんなにあげなくていいよ」と言うが、食いしん坊の父は、ネコにもエサをたくさんやりたがる。「どのエサやったの?」「ん?」「どこにあったやつあげたの?」「ごはん?」最近、耳の遠い父に話しかけるときは何度か同じことを言わねばならず、言ってることを理解しないので、さらにもう一度言わねばならない。大きい声で言うごとに、こちらの語気が荒くなるのはいたしかたない。老人虐待ではないです。

 

 さて、メールチェックしてぼちぼち寝るかと支度していると、花子がまた鳴いている。ああもう、頭がおかしくなりそうだよー、と台所へ行くと下着姿の父が「まんま食べるの?」と皿を持っている。「もう〜、そんな格好で出てこなくていい!」と、奪いとる。渋々お風呂へ行く父たけお。その後ろ姿。たけおさん、おじいさんになったね。

 

 

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