2018年も後半がはじまってしまった。今年に入ってから、このブログを更新したのは今日で5回目。3月いっぱいは、個展にあわせてつくった本「横浜のわたし」の文章を書くことにエネルギーを使いすぎてヘトヘト、おばあさん猫はほったらかしでした。しかし、個展にお客さんはたくさん来てくださったし、本は300部完売したので、わたしも花子も報われたような気がしています。有難い。
さて今日は、その個展でのエピソードをひとつご披露したいとおもいます。というか自慢したい!何度も聞かされているひとは、この先はスルーしてくださいな。
日曜日の午後、ふらりと入ってきた男のひとがいました。「ポスターを見て入ってきてくれたんですか?」と声をかけると「ア、ニホンゴ、ダメ...」と首を振ります。「あら、観光?」「ハイ、カンコク」「ん?韓国?」観光かどうかはわからないけど、韓国から来たのね。
「学生さん?」と聞いてみる。「プッ!ヨンジュウサンサイ」とウケている。「43歳?あら、結構いってる。お仕事は?」「シゴト、ナイ」と笑う。「無職?韓国に帰ればあるんでしょ?」とたずねると「ん〜、ナイ、カナ...」「ないの?お仕事なにしてるの?」とズケズケ聞くわたし。「ん〜カントク」と恥ずかしそうに言う。「うん、カンコクだよね、オシゴトは?」もう一度恥ずかしそうに「監督...」と言う。
驚いた。「え?なんの?」「エイガ」「映画監督?わたしたちが知ってる映画ある?」「ん〜、ドウカナ...」そして小さい声で「イキモデキナイ」と言った。ここで、ピンと来ないわたしの代わりに、HBギャラリースタッフの桑原さんが目を丸くして「観ました、観ました!」とちょっと興奮して言う。「怖いやつ?」「ちょっと怖いです」「その映画、有名?」「日本でもヒットしましたよ!」へえ〜。「すごいね、すごいね」監督はずっとニコニコ恥ずかしそう。「お名前なんて言うの?「ヤン・イクチュン」「じゃあ、ヤンさん芳名帳に名前書いてよ〜」「ナマエ、ニホンゴカケナイ」「いいよいいよ、日本語じゃなくて」というか、カタコトの日本語がカワイイ。
字までカタコト!ん〜カワイイ!
ヤンさんが、わたしの自画像を見て笑っている。
「え?頭?」「ア、カオ、顔ソックリ」あはは。ありがとう。作品をスマホでぱちぱち撮って楽しんでくれている。
「そうだ、ヤンさん、一緒に記念写真撮ってもらってもいい?」「ア、ハイ」
HBスタッフの桑原さんが後日ポライド風にして送ってくれた。
「霜田さん、監督に無職?って聞いてましたよね 笑」
家に帰ってから「イキモデキナイ」を検索する。
ぎゃ〜!観てる、観てる。ずっと前に観て泣いた映画じゃないか!
制作、監督、脚本、編集、主演、全部ヤンさんじゃないか!
スタッフの桑原さんにメールする。「桑原さん、わたしも観てたよ!」
すると桑原さん「ヤンさんのインスタに霜田さんの絵が載ってます!」と画像を送ってくれる。ええ〜!
早速コメントをいれる。Google翻訳した英語で。
ヤンさんもコメントしてくれる。
next time exhibition mo 楽しみにしてmas!!
きゃ!!!うれしいうれしい。いい1日だ。
まるで別人。いいひと。
そして、翌日。ギャラリーを少し遅く閉めて駅に向かっていると、コンビニからすっと出て来て早足で歩く人影が。あ!「ヤンさん!!」走って追いかけて声をかける。振り返るとヤンさんが「ア〜!アニハセヨ!」とにっこり笑う。
「ヤンさん、どこ行くの?」「アー、ワタシノデタサクヒンノ、パーティ」「あゝ荒野?」「ア、ハイ!」昨日はあれからヤンさんのことをチェックして、寺山修司原作の映画「あゝ荒野」で菅田将暉とダブル主演して、賞をとってるのを知っていた。「ヤンさん、観るね。あと、『息もできない』前に観てた!感動した!」「アリガトゴザイマス。アナタノ絵スキ」いや〜ん、うれしいうれしい。「ヤンさん、インスタにあげてくれてありがとう!」「フォロワーしゅくないよ」「これからどんどん増えるよ。ヤンさん大活躍してるもん」「ダイカツ?」「ん〜、有名、がんばってる」「イヤイヤ」ああ、なんて謙虚でかわいいのだ。「ヤンさん、握手して!」「ア、ハイ!」
個展も無事終わって、DVDで「あゝ荒野」を観た。前編後編合わせて5時間ぐらい。がんばって観た。菅田将暉もがんばっていたが、ヤンさん演じる「バリカン建二」が、すごくいい!これまた別人!いやあ、うまい。泣ける。ヤン・イクチュンはサイコーだ!すっかりファンになる。
この写真は、ヤンさんのインスタを見て来てくださった筋金入りのファンの女性が、「ハチワレ猫を抱いてるヤンさんの写真が、インスタにあったと見せてくれたスマホを撮影したもの。花子さんを抱き上げているみたい♡なんて。
以上、ヤンさんにすっかりメロメロの、長い長いじまんブログでした。
失礼しました〜