花子さん、おばあさんになる

人間年齢100歳の老いねこ日記

エリザベス

 本日の花子さんはどうぶつ病院へ定期検診。病院好きのネコなどいないとおもうけれど、花子ほど絶叫しているネコもいない。ホント、先生方に申し訳ないです。手を出せば本気でかみ付かれることがわかっている先生は、革のグローブをはめて、抵抗できないように花子にパカッとエリザベスカラーを素早く巻き付る。

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 このネコの首に巻かれているものがエリザベスカラー。傷口などの患部をなめないように防ぐ道具ですね。うちの花子さんも若い時分、手術をしてこれをはめて生活していたことがあります。

 

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 歩きにくそうで気の毒になるけれど、単純なつくりなのにちゃんと役目を果たす道具である。ところが、避妊手術をした花子さんを迎えに行ったら、傷口をなめてなめて糸が取れちゃったので退院出来ないと言われる。エリザベスをしてなかったのかな。花子本人も後悔したことだろう。やっと退院して家に帰ってきたときには、寝そべるわたしの胸によじのぼり、ゴロゴロとのどをならしながら眠った。(後にも先にもこれ一度きり)さすがの花子も参ったみたいだ。なんだかわるかったねえと撫でてやった。

 しかし、大人しかったのはこの一瞬だけだった。夜中、網戸に駆けのぼり蹴倒して脱走。網戸がはずれるものすごい音に飛び起きて、見に行ってさらに驚いた。エリザベスをつけたままベランダの手すりに飛び上がり、隣の隣の家まで歩いて行くではないか。そして、ピョンとよそのお宅のベランダに降りてしまった。え〜っ。ど〜すんの。夜中に迎えに行くなんて出来ないよ。あああ。もう〜。ネコ缶を持ちスプーンでカンカン叩いて小声で呼んでみるも反応なし。途方に暮れる。

 すると、ネコ缶作戦におびき寄せられたのか、ひょいと手すりにのぼる姿が見えた。エリザベスカラーをコツコツぶつけながら、マンションの三階のベランダの手すりをのんきに歩いてくる。わ〜。「落ちるな落ちるな」と祈りながらネコ缶を叩く。そして、目の前まで近づいてきた花子の手をガシッとつかんで確保。「んもう〜バカ!」と叱った。エリザベスカラーつけたままでよくこんなこと出来たよ。首、苦しくないのかな。

 

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首が苦しいといえばこの絵。ルシアン・フロイドの「子猫を持つ少女」1947年。少女(というか中年女性にも見える)の目はうつろで髪もちりちりで、ネコの首をガシッとつかむ手に胸がざわざわする。この画集を見るまで、ルシアン・フロイドという画家の名前は知らなかったけれど、あのフロイトの孫なんだそうだ。1950年から画風が変わったらしいけれど、この作品のような初期の絵が好きだなあ。猫の表情もいい。