花子さん、おばあさんになる

人間年齢100歳の老いねこ日記

作家の猫

 もし猫に生まれることがあるとしたら、わたしは武田家の「玉」になりたい。実際、玉と暮らした武田家の娘である武田花さんもそうおっしゃるのだから、それはもうしあわせな猫人生だったと想像する。作家武田泰淳、武田百合子夫妻とともに、富士の山荘で野原を闊歩し、赤坂の家で高級鮮魚店のアジやカマス、ヨード卵をなめる生活。食べに食べ、8キロにまで太ったのに19年病気もせずに生きたのだそうだ。薬で生き延びる現代の猫とは違い、好き勝手しながら楽しく暮らした結果の長生きであるから、選べることならわたしもそっちを選びたい。

 

f:id:hananeco:20171029215358j:plain

 

 コロナ・ブックスシリーズの「作家の猫」と「作家の猫2」はいつ見てもわたしをうっとりとさせる。まず、作家の存在に憧れ、その生活の中にどっしりと猫がいるということに憧れ、その猫たちのチャーミングさに若気る。作家と猫の関係が写真からだけでも伝わってきて、読まずに眺めて終わってしまう本なのだ。

      f:id:hananeco:20171029221619j:plain

 このブログをはじめようと思ったのは、我が家の老いねこをテーマに本を作りたいと夢見たからなのだけど、それにはまず文章修業が必要だと感じた。駄文ではあるけれど、その駄文も週に一度、読み手を意識して書けば、上達していくのではないだろうかと考えたのだった。(悲しいかな今のところちっとも上達していない)今まで何度か文章修業をしたい、せねばと思ったことがあり、古本屋で「私の文章修業」という本を買ったこともある。その本がこの十年どこにあったかと言うと、恥ずかしながらベッド横の目覚まし時計の下である。見やすいように目覚まし時計の高さ調整として使われていた。版画家の池田満寿夫の装丁がきれいなのと、今では珍しいビニールカバーがかかっていて、ホコリに強そうなので選んだのだ。

  久々に晴れた朝、掃除の途中にふと手にとって読んでみたら新鮮だった。そうそうたる顔ぶれが昭和53年「週刊朝日」に書いたエッセイで、わたしなどはやはり絵描きの文章に惹かれる。修業なんてしていないということを、そのひとらしい文体で書かれていると、「それならわたしにも書けるのでは?」と、その気にさせられてしまう。

 

 武田百合子さんは立派に随筆家であったけれど、この本での肩書きは(故武田泰淳夫人)となっている。夫に日記を書いてみろと日記帳を渡されてしぶしぶ書き始めたから、遠慮というか、自覚がないというか、何かそんな心持ちだったのかな。わたしは、そんな百合子さんの文章が好きで、真似してみたいとおもっているけれど、天衣無縫は真似も修業も出来ない、天賦の才能なのだ。そう知りつつも、こうして今日も老いねこの近況そっちのけで、だらだらとどうでもいい文章を綴っている。わたしの文章修業は、こんな感じでのらりくらり続いていくようだ。

 

 

 

 

秋やすみ

 大安、選挙、台風の日曜日。みなさまお元気でしょうか。わたくし、秋やすみのあれこれで更新忘れていました。(忘れてたのかよ!)のぞきに来てくださっていた方すみません。台湾に行ってきました。狙って行った訳ではないですが、ちょうど誕生日を挟んでいたので友人たちにお祝いしてもらってよい思い出になりました。

 誕生日の記念に、十分(シーフェン)でランタンに願いごとを書いて飛ばしました。想像以上に大きくてびっくり。手が届きそうでなかなか届かない願いごと4つを(欲張ったわけではなくてランタンは4面ある)筆に墨をつけて描きました。思い返すと小っ恥ずかしいので、森のどこかの木に引っかかっていないことを願います。

f:id:hananeco:20171022150039j:plain

 お迎えしてくれたニャンコ。

 

 わたしが海外旅行へ行くという日に限って、体調不良になる花子さん。んもう、子どもか? と思う。今回はお腹をこわしていた。前にパリに行ったときは膀胱炎。まあ、大事には至らず、元気回復していますけれど。有難いことにジジババ(主にババ)が面倒を見ていてくれるので、こうして旅行も行かれます。謝謝。

 

 

そうそう、旅行前に銀座のasagi ギャラリーでの企画展に出していた絵。

f:id:hananeco:20171022150524j:plain

「晩ごはん、まだ?」

 こちらお買い上げ頂きました。ありがたや〜

 

f:id:hananeco:20171022180558j:plain
「ねことグリーン」

 漫画家の大島弓子さんみたいに、たくさんのねこのお世話をしたい気もするけれど、実際もんだい無理ですので、絵の中だけで。

 

 

 来月は「風刺画」の企画展に参加します。近くなったらお知らせしまーす。ね。

 

 

 

トラ子ロス

  f:id:hananeco:20171001215623j:plain

 愛人猫トラ子の姿がもう2週間近く見えない。最後に会ったのは台風の前だった。遠くから鳴きながら走ってきて、いつも通り贅沢にシーバをガツガツ食べた。後ろ姿があまりに痩せていたので、嫌かもしれないなとおもったけど、腰のあたりをなでた。「痩せたねえトラちゃん、しっかりね」。あれは、わたしの野生の勘、虫の知らせだったのか。

 台風の夜をどんなふうに過ごしたのか、わたしは知らない。台風のあとの数日、なんだかんだと忙しなく過ごしていてトラ子のいる丘に行かなかった。やっと時間が出来て出かけたらいなかったのだ。時々姿が見えないときもあったけれど、翌日行くといつも通り、にゃ〜っと鳴きながら出てきた。今度もそうだろう、いや、そうであってほしい。そう望みをかけて通う。でも本心は、今回だけはもう会えないのかもしれないと思っている。空振りだろうと思いながらも出かけているのだ。

  「ひよっこ」も「やすらぎの郷」も終わってなんだか淋しい秋だけど、それよりも今のわたしは「トラ子ロス」である。散歩の理由が突然なくなってしまったのだ。もう7、8年続いていたのに。仕事が乗ってきて散歩に行くのをためらうときも、小雨が降って出かけたくない冬の午後も、トラ子のことが気がかりで支度をして外に出た。

 

  トラ子に避妊手術をしてやったという赤い口紅のマダムなら、事情を知っているかもしれないと思って時間帯をずらして行ってみたけれど、会えない。もしかしたら、あのおばさまが弱ったトラ子を猫屋敷に連れていって、他の猫たちと一緒に面倒を見てくれているのかもしれない。きっとそうだ、きっときっと。

  f:id:hananeco:20171001215705j:plain

  でも、わたしは思い出した。飼い猫ではない、愛人猫の最期を見届けることができない淋しさを。見届けないから、どこかで生きているのではないかと諦めきれないモヤモヤしたきもち。さよならが出来ないまま、お別れするのが愛人猫なのね。

 

また明日もわたしは出かけてしまうのだろう。空振りでもいい。

 

  f:id:hananeco:20171001215734j:plain

 トラ子の丘にきれいな黄色の菊が咲いていた。

 

 

 

ペットショップへいくまえに展

 

f:id:hananeco:20170923135854j:plain

  

 前回お知らせした、西荻窪ウレシカさんでの企画展「ペットショップへいくまえに展」が始まりました。小さめのネコの絵4点を出してます。わたし自身はまだ行けてないのですが、ネコの絵がお待ちしています。

 うちの花子さんも保護ネコですし、今までペットショップで買ったのは、幼稚園生のとき、お年玉で買った文鳥くらいなもので、あとはたまたま一緒に暮らすことになったいきものばかりです。犬も好きなのですが、住宅事情が一緒に暮らすことを許してくれないので、なんとなくネコ派です。わたしの描く犬に思い入れがない!と友人たちは笑いますが、そんなことないです。親戚の家で飼ってた柴犬のジローのことは、今思い出してもウルウルしちゃう。

 犬や猫が気の毒な目にあっているというニュースを見るのが、水爆実験のニュースを見るより腹が立ちます。金正恩のほうが恐ろしいとはわかっていても、動物虐待の犯人がメラメラと憎い。そんな情けない動物好きです。甘いなあ。

 まあ、そういう社会派の展覧会ではまったくなくて、参加者の方々もみなさん動物好きなので愛情たっぷりの絵が見られるのではないでしょうか。(と、想像で申し上げてます)お近くに行かれることがあったら是非のぞいてみてくださいね。

 

 ということで、今日はたよりな〜い宣伝だけでごめんくださいませ〜

 

http://www.uresica.com/gallery.html#event

「おばあさん」

 金曜日から表参道のOPAギャラリーではじまった企画展に参加しています。「お」のつく言葉をテーマに25人のイラストレーターが「まじめ作品」と「あそび作品」を描いたり作ったりする展覧会でして、わたしの場合どちらもあそび的なものです。テーマは「おばあさん」にしました。(デザイナーのOさんが「あそび作品」をお買い上げくださいました。勢いで買ってしまって後悔してないかしら?)

日の出計画.

f:id:hananeco:20170918003630j:plain

あそび作品「おばあさん人形」

 

 

f:id:hananeco:20170918004250j:plain

まじめ作品「おばあさんの絵」

 

 先に見せちゃうと、ギャラリーに足を運んでもらえなくなってしまうかもしれないけれど、まだ25人分の作品があります。それぞれにおもしろいことやっていて楽しいです。台風一過の町散歩のついでに是非のぞいてみてください。

 

  で、なぜ、わたしは「おばあさん」をテーマにしたのか?

 テーマの締め切り日に「お」のつくものが思い浮かばず、このブログの文章を考えたりして、あら「おばあさん」があるわと気づいた、というだけです。ふふふ。

 すると、その数ヶ月後、文庫本の絵の依頼が来ました。昨今復刊ブームの獅子文六の小説。タイトルはスバリ「おばあさん」。なんだかわたしのところに「おばあさん」の波が来ているみたい、なんて思ったりして。

 

f:id:hananeco:20170918004957j:plain

 獅子文六著「おばあさん」

 

 

 さて、この企画展が終わると次の企画展がまた始まります。

西荻窪のウレシカにて「ペットショップへ行く前に展 2017」

【URESICA】ウレシカ(SHOP & GALLERY)展覧会情報・地図・

 今、必死にネコの絵を描いてます!

 

 そして、来月あたまにもネコの絵を描いて参加します。

銀座のASAGI ARTS

https://www.asagi-arts.com/pag

 

よろしくお願いします〜

 

お手上げだニャー

f:id:hananeco:20170910200323j:plain

 

 日曜日の夜は静かだ。何もない日も働いた日も遊んで帰る日も、それを感じる。みんなどこへ行ってしまったのか、歩いているひとが少ない。家族団らんなのか、明日の仕事の準備なのか、わたしの知らない暮らしがあるのだろう。思えば、サービス業の多かったわたしは日曜日もよく働いた。みなとみらいの高層ビルに通っていた頃は、賑わう観光客に混じって「動く歩道」の右側を足早にずんずん歩いて仕事に向かった。夜、仕事が終わりタイムカードを押して外に出ると、昼間いた元気なひとたちはすっかり消えていて、代わりに遊び疲れたり働き疲れたりした人たちが、だるそうに重い足取りで漂っており、その流れにわたしも合流していくのであった。そんな中、道をたずねられたり、頼まれてカメラのシャッターを押したりすることが度々あったけれど、ほとんどはアジアのひとで、お互いカタコトの英単語とスマイルで会話したものだ。そんなことを懐かしく思い出しながら、静かな日曜日の町を帰ってきた。

 

 などと、遠い昔の景色に浸っている理由はズバリ、書くことが…ない、のである。

 

 今日やるべきことを、メモ帳に書き出したら7つあったのだけれど、上から2つだけを赤線でひっぱってある状態で、う〜む計算どおりに進んでないなあ〜とカレンダーを見たら、しまった!今日は句会の日だった…と気づいたりして。かと言って仕事が忙しいというのではなくて、やるべきことが進まないという、なんともむなしい状況におります。ということで「お手上げだニャー万歳ネコ」の絵が今の気分、です。 

 

 ところで、花子さんは元気なのか?元気といえば元気ですよ。毎朝、クスリをたくさん飲んでます。わたしも飲ませ方がけっこう上達しました。

 

 

 

 

押し入れベッド

 

f:id:hananeco:20170902143448j:plain

 毎回、さて何を書こうか…と頭を悩ませております。だったら、更新しなくてもいいんじゃないのと思いながらも、なんとなく筋トレ気分で続けてます。

 

 

 

f:id:hananeco:20170902143539j:plain

とりあえず、ゼブラのマッキーや100均のツインマーカーを手に取ってみましょか。

 

 

 

 

f:id:hananeco:20170902143505j:plain

 おねがいドラえもん。ポケットからおもしろいネタをひとつ…

 

 

 

f:id:hananeco:20170902143607j:plain

 ドラえもんの寝床が押し入れってサイコーだよね。昭和生まれは一度はやったことあるんじゃないかな。わたしもこどもの頃に、ベッドが欲しすぎて、押し入れベッドで寝たことあるけれど、すごくうれしいのに、寝心地が全然快適じゃなくて、一度で満足したっけな。最近はこの押し入れベッドのおしゃれ版みたいなドミトリーが流行っていて、わたしも泊まったことあるけれど、やっぱりそんなに快適ではなかったかなあ。

 

f:id:hananeco:20170902143624j:plain

  

 平成の今、ネコの寝床は押し入れからクローゼットに。花子さんの場合はベッドに対する憧れというより、籠ってゆっくり寝たいという理由で、クローゼットで寝ているとおもうのだけど、服に毛がいっぱいつくので困りものです。

 

 

f:id:hananeco:20170902143643j:plain

 でもねえ、ぐうぐう気持ち良さそうだからねえ。仕方ないね。集中して睡眠。

 

 

 そうそう、押し入れといえば、こんなことがあった。

 小学生のわたしが、学校から帰ってひとりおやつを食べていると、押し入れがガタガタとはげしく揺れた。あまりの恐怖に固まっていると、ネコの鳴き声。「え?みいこなの?」と開けようするけれど、ずり落ちた布団が邪魔して開けられない。思い切って襖をはずしたらびっくり!みいこが鬼の形相で飛び出してきて、外へ出せと鳴き叫び窓から走って出て行った。

 

 

f:id:hananeco:20170902143702j:plain

 

 

 どうやら、母が布団をあげているときにもぐり込み、そのまま半日閉じ込められていたらしかった。相当暴れたようで、布団に粗相もしていた記憶。

 

 

 

     

     f:id:hananeco:20170902150542j:plain

  

 ということで、押し入れの思い出話をして今日は終わります。また来週〜

 

おわり