花子さん、おばあさんになる

人間年齢100歳の老いねこ日記

痛い頭は使うにかぎる

 おととい、恐れていたことが起きた。寝しなの深夜12時に花子さんの鳴き声が…。それは脱ぷんを知らせる雄叫びだった。この時間にするということは、昼夜逆転しているのかもー。残念なことにそれは的中し、夜中2時過ぎに徘徊と遠吠え。そして、まだ暗い午前4時過ぎ、5時半…と徘徊しては大声で鳴く花子。なんてこった、魔法のスプレーの威力はもうないのか?まだ消費期限切れの最初の1本を使っているところなのに。追加購入の2本はどうなるの。

 

 頭がガンガンするという母のクレームに、さて困ったな…と頭をかかえるわたし。わたしの頭もうっすら痛い。タオルハンカチ作戦は撤退なのか?昔のテレビドラマの誘拐シーンでは、いつもクロロホルムを嗅がせていたけれど、あれ、ホントは効かないそうですね…。なんて、そんな後ろ向きな考えになってはダメだ。何か考えねば…うーむ。

 とりあえずは、都合3本ある魔法のスプレーを無駄にしたくはない。タオルハンカチを花子が肌身離さず持てば、徘徊して鳴いたとしても、大鳴きしないのではないだろうか?厚みのあるタオルハンカチを、普通のハンカチに変えてバンダナ風に首に巻くのはどうだろう。でも、花子さんは首回りに敏感だからなあ、もうちょっと細いのがいいかもなあ。

  タンスの中を漁ってみると、着なくなったワンピースのヒモがあった。太すぎず、細すぎず、これはいい太さかもしれない。シュッシュッシュッとスプレーをして乾燥させ、寝てる花子の首に素早く巻く。パチッと目を開け、鼻をひくひくさせ、匂いの元を探している。そして、どうやら首だと気づいたもよう。やばい。激しく抵抗したら取らなくてはと、じっと観察していると、あら、なんかいい感じにうっとりしているではないか。

 首巻き作戦成功か?祈るきもちで床に就く。翌朝、遠吠えはなかった。作戦成功〜!

 痛い頭をつかって考えてよかったー。って、これから作戦実行の二晩目を寝るところですが、効果が1日だけだったらどうしよう…

 

つづく

 

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魔法はとける?

 「魔法のくすり」のその後の報告を、待ちわびているひとがいるかもしれない(いないか)。そう思うと、重い腰を上げてブログを更新せねばなるまい(恩着せがましい)。そんな妙な使命感でパソコンの前にいます(ただ、ぼんやりと)。

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 前回のブログを読んでくれた知り合いが『コンセントに差すタイプ、我が家の若猫の方にはぜんっぜん効かなかったです〜笑』と教えてくれた。えっ、そうなんだ、効かないんだ…。もしかして、このスプレーの魔法はとけてしまうのか?

『若い子には効かないのかも。。「?フェロモンってなによ!」みたいな顔してましたよ、うちのお嬢さんは』そうか〜若い子には効かないんだ。でも、お年を召したお嬢さんには効くかも、だよね?一縷の望みをかけて、せっせとタオルハンカチにスプレーする日々。

 で、どうなのよその後、ですが、まだ効果あります。でも、明け方に大きい声で鳴くことがちょいちょい出てきました。前よりは全然おとなしいけれど。昼間、雄叫びをあげだしたら、タオルハンカチを頭からかぶせて匂いを強引に嗅がせます。すると、おとなしくなります。その様子は、拉致しようとしている北のほうの悪い人間に見えるかもしれないけれど、興奮しているから仕方ないのでございます(ゆるして花子さん)。

 ということで、魔法がとけそうでとけないので、えいやっ!と、スプレー2本注文してしまいました(結構なお値段)。あ、わたくし別にここのメーカーの広告塔でもなんでもないです(ブログの世界にはそういうのあるみたいだけど)。知り合いのおうちのお嬢さんにはまったく効果がなかったというから、よそのネコさんに効く保証もありませんです。

 うちの花子ばあさんはフェロモンに飢えていた?弱い?という実験結果が出ていることだけお伝えして、本日は失礼しまーす。

 

 

魔法のくすり

 

          

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 「霜田さん、読んだよ。大変だね〜。どうしたらいいんだろう??」そう言ってくれるのはネコを飼っている人たちだ。もし我が家のネコが…と置き換えて心配してくれるのだろう。「この夜鳴き、ホントにどうしたらいいのだろう」と、寝不足のあたまで考えても、いい答えはでなかった。代わりに一週間の不在から戻ってきた母が、どうぶつ病院へ相談へ行ってくれた。そして、抗てんかん薬ゾニサミドを処方され帰ってくる。しかし、注意書きには<高齢などのため全身状態が悪いときには、薬が効きすぎてしまう場合があります(最悪の場合には致死的になる場合もあります)>と書いてあるではないか。

「どうする?花子にもしものことがあったら」と心配そうに母に聞かれて、「そのときは寿命だよ」と答えるわたし。花子が聞いたら、絶叫してますます怒りそう。この抗てんかんの薬は、以前飲んだ精神安定剤とは違い、ラリってふらつくことはないらしい。夜中に絶叫して徘徊しませんように…と願いながら、花子の口をむりやり開けて投入した。

 翌日、ラリることなく、絶叫することなく、天国へ行くこともなく、花子は大人しかった。けれど、大人しすぎた。食欲がなくなったらしい。そして、少しふらついて歩く姿は、一気におばあさん度があがっていた。老ねこが食欲をなくすのは気の毒だ。命取りになってはまずい。てんかんの薬は様子見となる。なかなかよい解決策は見つからないものだ。

  

 ふと、母が「そういえば…」と1本のスプレーをゴソゴソ探しだしてきた。「ずいぶん前にどうぶつ病院で買わされたんだけど、怒って興奮するネコをキャリーバックに入れるときに使うスプレー、これどうだろう?」タオルハンカチに何度かスプレーしてネコハウスの前にぶら下げてみた。匂いをかいだ花子が目をこする。そして、静かに目を閉じた。朝起きてみれば、あの悩ましい絶叫は…なかった。徘徊しても、かわいらしい声で鳴いていた。ごはんも食べる。昼間、妙な声で遠吠えするときがあるのだけど、そのときも、このタオルハンカチの匂いをかぐと、おもしろいように大人しくなる。奇跡だ。花子の奇声が聞こえると、母は素早くボクシングのセコンドのようにタオルハンカチを投げている。

 

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 さて、花子さんのような困ったネコとお暮らしの皆さんに、この魔法のスプレーをご紹介しましょう。名前は「フェリウェイ」。なんでも<猫の頬から分泌されるフェイシャルフェロモンF3に注目して開発された、フェロモン製剤です。問題行動をおこす猫に対して安全に使用できる商品です>とのこと。なんと、フェロモン!媚薬!どうりで、とろんとした顔つきになったわけだ。花子も気分がよいとは、なんてすてきな魔法のくすりなんだ。あ〜よかったよかった。しかし、これって薬中毒みたいものなのかな。効果がうすれていきそうな気配もあるなあ。でも、今のところいちばん良い結果が出ている。スプレーの箱を見ると、消費期限は3月末。むむむ。ま、ちょっとくらい期限を過ぎたって大丈夫だろう。スプレータイプの他に、コンセントに差し込んで部屋中に拡散させるものもあるらしい。スプレーがなくなったら、これを買ってみようか。只今、生体実験3日目。どうなるかな。また報告します。

 

 

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老人と老猫との生活

 

                             

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 この一週間、老人(75歳男)と老猫(推定84歳雌)と暮らしていた。どちらも早起きで、どちらも大食いで、わたしの普段のペースとはまったく合わない。けれど、そんなこと言ってても生活が回らないので5時半に目覚まし時計を合わせる。睡眠確保のため就寝は23時半までにしたい。23時頃から布団に入って俳句の本なんか広げて、眠気を誘いながらうつらうつらしていると、花子の鳴き声がどんどん大きくなるのが聞こえる。そして、父がドアを叩く。「花子がさ〜ウンチしたよ」。ムクッと起き上がり、「してたら取ってトイレに流す!」と、ウンチをすくって流すところを見せる。学習してちょうだい。布団にもどって寝る。そして午前4時頃、また鳴き叫ぶ花子の声。ダメだ。まだ5時半じゃない。今起きて行ったら、明日からずっとそうなる。布団をかぶる。5時すぎ、父が起きてどすどす歩く音がする。「花子、どうしたの」なんて声がする。玄関で朝刊を取る音がする。んも〜、寝てられない。絶叫する花子にエサをやる。『まぐろスープ、かにかま、小海老入り(少しだけ、だから贅沢)』と書かれたパックからスープが垂れる。ぬぐってなめそうになる。どんな味がするのだろう。

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 わたしは低血圧で、朝につよくない。本当なら顔など洗って徐々に動き出したいが、7時に仕事へ出かける父の朝ごはんの支度をせねばならない。父が謎の早朝体操をしているあいだに、前夜用意したりんごにバナナを添えて、茹でたブロッコリーにゆで卵、ハムを盛りつけ、食パンを半分に切り焼く。片方にチーズとしらす、もう片方にブルーベリージャム、ヨーグルトには蜂蜜をたらす。我が家の朝ごはんは洋食なのだ。朝刊を広げてのんびり食べてる父のそばで、ひとまず果物だけ食べて、花子のトイレ掃除をする。洗濯機がぴーぴー鳴って、洗濯完了を知らせる。ゴミをまとめて収集カゴに入れにマンションの一階まで降りる。戻ると、また花子が絶叫してごはんを催促する。

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 やれやれ、やっと顔を洗う。洗濯物を干す。風呂を洗う。体操をする。8時を過ぎた頃やっと朝ごはんを食べる。花子が鳴いている。朝ドラを見る。(我慢して見ている理由は、北大路公子さんのツイッターでの的を射た感想に笑うため)花子がまた絶叫している。ほっといたら常に用意してあるカリカリを食べていた。掃除機をかける。スーパーへ買いものへ行く。帰ってきて、冷蔵庫にしまっていると寝ぼけた花子がまたエサをねだる。

 

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 なんやかんやしているうちに、日が陰ってきたので、洗濯ものをとりこむ。花子がベランダに出てきて、ムシャムシャねこ草を喰んでいる。玄関で夕刊が届く音がする。テレビをつけて、大相撲を見ながら晩ごはんの支度や明日の朝ごはんの下準備などする。今場所は贔屓の高安関が連勝で気分が上がるなあ。そこへ花子がまた「メシをくれ〜」と激しく鳴く。「1日に何度あんたにごはんをやればいいのだ?」とエサをやる。父が帰ってくる。棒立ちになって、横綱たちの取り組みを見ている。

 

 

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 父が謎の夕方体操をしているあいだに、晩ごはんを並べる。花子も「メシじゃ」と横に座るので、スプーンひとさじエサをやる。18時半、父と一緒に夕食。わたしのいつもの夕食時間より2時間半も早い。お腹もあまり空いてないが仕方ない。リモコンでザッピングされまくりで、何を見ているのかわからないままのテレビを見つめながら食べ終わる。作りすぎたぶんを、自分の責任で食べてお腹がいっぱいだ。洗いものが終わるとまた花子が「腹減った」と鳴く。こんなことになるだろうと、残しておいたエサをやる。皿をなめて完食。父も晩ごはんのあとのおやつだと言って、菓子パンをひとつ完食。「あんたら、どんだけ食べるんじゃ〜」。胃薬をのむわたし。

 

                                 

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 お風呂に入っていると、花子がまた絶叫しているのが聞こえる。エサをやるかと出てくると、おとなしく毛づくろいをしているではないか。どうやら父にまたエサをもらったようだ。「吐くからそんなにあげなくていいよ」と言うが、食いしん坊の父は、ネコにもエサをたくさんやりたがる。「どのエサやったの?」「ん?」「どこにあったやつあげたの?」「ごはん?」最近、耳の遠い父に話しかけるときは何度か同じことを言わねばならず、言ってることを理解しないので、さらにもう一度言わねばならない。大きい声で言うごとに、こちらの語気が荒くなるのはいたしかたない。老人虐待ではないです。

 

 さて、メールチェックしてぼちぼち寝るかと支度していると、花子がまた鳴いている。ああもう、頭がおかしくなりそうだよー、と台所へ行くと下着姿の父が「まんま食べるの?」と皿を持っている。「もう〜、そんな格好で出てこなくていい!」と、奪いとる。渋々お風呂へ行く父たけお。その後ろ姿。たけおさん、おじいさんになったね。

 

 

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もの思いに耽る

 せっかく獲得した読者がどんどん減っていくのを知りながら、ちっとも更新出来なかった理由はふたつあるのですが、そのひとつは、フリーランスの宿命「確定申告」。まあ、わたしの場合はそれを計算してくれる会計ソフトとの闘いなのですが。算数大好き少女だった頃の脳みそは、もはや数パーセントしか残っていないらしく、毎年悪戦苦闘です。右脳はすっかり出る番なしの日々でございました。

 一方、花子さんも、全幅の信頼を寄せる「お母さん」が不在のため、捨て猫のようにしょぼくれております。

 

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 と、もの思いに耽る写真など載せてみましたが、実はこれは現在の姿ではなく、1歳未満の発情期の頃の写真です。わたしのベッドの上でしなしな、クネクネしたあとの姿です。きゃっ、色っぽい。あの頃は父たけおの匂いが大好きだったなあ。今では考えらないことでございます。

 

 

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そして、この絵はわたしの憧れの姿。ソファを一度も所有したことなく、花子さんは寄り添ってくれる猫でもなく…。こんなふうにうたた寝する時間がわたしに訪れる日は来るのだろうかと、もの思いに耽っております。

なんてどうでもいい更新をしてみました。

次回は、もう少し内容のある記事を書きたいとおもっております。見捨てないでくださいましね。

 

 

 

エリザベス

 本日の花子さんはどうぶつ病院へ定期検診。病院好きのネコなどいないとおもうけれど、花子ほど絶叫しているネコもいない。ホント、先生方に申し訳ないです。手を出せば本気でかみ付かれることがわかっている先生は、革のグローブをはめて、抵抗できないように花子にパカッとエリザベスカラーを素早く巻き付る。

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 このネコの首に巻かれているものがエリザベスカラー。傷口などの患部をなめないように防ぐ道具ですね。うちの花子さんも若い時分、手術をしてこれをはめて生活していたことがあります。

 

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 歩きにくそうで気の毒になるけれど、単純なつくりなのにちゃんと役目を果たす道具である。ところが、避妊手術をした花子さんを迎えに行ったら、傷口をなめてなめて糸が取れちゃったので退院出来ないと言われる。エリザベスをしてなかったのかな。花子本人も後悔したことだろう。やっと退院して家に帰ってきたときには、寝そべるわたしの胸によじのぼり、ゴロゴロとのどをならしながら眠った。(後にも先にもこれ一度きり)さすがの花子も参ったみたいだ。なんだかわるかったねえと撫でてやった。

 しかし、大人しかったのはこの一瞬だけだった。夜中、網戸に駆けのぼり蹴倒して脱走。網戸がはずれるものすごい音に飛び起きて、見に行ってさらに驚いた。エリザベスをつけたままベランダの手すりに飛び上がり、隣の隣の家まで歩いて行くではないか。そして、ピョンとよそのお宅のベランダに降りてしまった。え〜っ。ど〜すんの。夜中に迎えに行くなんて出来ないよ。あああ。もう〜。ネコ缶を持ちスプーンでカンカン叩いて小声で呼んでみるも反応なし。途方に暮れる。

 すると、ネコ缶作戦におびき寄せられたのか、ひょいと手すりにのぼる姿が見えた。エリザベスカラーをコツコツぶつけながら、マンションの三階のベランダの手すりをのんきに歩いてくる。わ〜。「落ちるな落ちるな」と祈りながらネコ缶を叩く。そして、目の前まで近づいてきた花子の手をガシッとつかんで確保。「んもう〜バカ!」と叱った。エリザベスカラーつけたままでよくこんなこと出来たよ。首、苦しくないのかな。

 

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首が苦しいといえばこの絵。ルシアン・フロイドの「子猫を持つ少女」1947年。少女(というか中年女性にも見える)の目はうつろで髪もちりちりで、ネコの首をガシッとつかむ手に胸がざわざわする。この画集を見るまで、ルシアン・フロイドという画家の名前は知らなかったけれど、あのフロイトの孫なんだそうだ。1950年から画風が変わったらしいけれど、この作品のような初期の絵が好きだなあ。猫の表情もいい。

 

 

 

 

おむつはまだだけど

 父の好物のかりんとうが床に落ちていた。「まったくもう〜ちゃんと食べなさいよ」と拾おうとしたら、花子さんのブツだった「マンガか!」けれど、これをマンガに描いてもおもしろくならないのが残念なところ。

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 目撃したときは、驚いた。え〜、なんで?そして、暗いきもちにもなった。あれから、こんなに堂々と粗相したことはないけれど、おしりにくっつけたまま出てきて歩き回るという失態は何度もやっている。そんな訳で、かりんとうは積極的にはあまり食べたくないこの頃です。

 

 *ご覧くださっているみなさま、そろそろ週に2回とか1回とかの更新にしようかなとおもっております。のぞきに来ても同じ記事だったらスミマセンです。